• HOME
  • ニュース一覧
  • 認知行動療法(CBT)はうつ病患者の複雑化したポジティブ情動経路を整える
OUTCOMES
2025.06.13

認知行動療法(CBT)はうつ病患者の複雑化したポジティブ情動経路を整える

概 要

 薬物療法や心理療法の多くはネガティブ情動の低減を通してうつ症状を改善しますが、ポジティブ情動の向上やそれによる治療の効果は必ずしも十分ではありません。伊藤有里、大塚貞男、村井俊哉ら京都大学の研究グループは、認知行動療法(CBT)を受けた成人うつ病患者の、ネガティブ情動/ポジティブ情動とうつ症状および生活の質について調査しました。その結果、うつ病治療が症状やQOLを改善する経路には、ネガティブ情動の低減とポジティブ情動の向上という2つの独立した経路があることを明らかにしました。さらに、うつ病に対するCBTは、うつ病の遷延に関連する複雑なポジティブ情動経路(ポジティブ情動とアウトカムの複雑な関係)を最適な状態に整えることで、症状やQOLを改善することを併せて報告しました。本研究成果は、ネガティブ情動のみを対象とした従来の治療法の課題(再発や治療抵抗性)の克服に寄与することが期待されます。

論文情報

<タイトル>

How does CBT work on recovery from depression through positive affect route?
DOI: https://doi.org/10.1007/s12144-025-07972-z

<著者>
Yuri Ito, Sadao Otsuka, Taro Suwa, Yujiro Yoshihara, Yusuke Kyuragi, Momoko Hatakoshi & Toshiya Murai 

<掲載誌>
 Current Psychology ,