森本千恵、阿部修、笠井清登、小池進介ら東京大学の研究グループは、異なる統合失調症の臨床病期における小脳 Crus I/IIの体積の違いを、灰白質と白質に分けて解析を行い、精神病超ハイリスク群の男性において小脳 Crus I/II体積の白質体積が有意に増加していることを明らかにしました。また、Crus I/IIの白質や灰白質の体積は、精神病超ハイリスク群や初回エピソード群の症状の重症度と相関がみられました。
統合失調症の臨床病気における大脳のさまざまな領域の変化はよく研究されていましたが、小脳体積の詳細な解析は充分に行われていませんでした。本研究では、前頭前野と解剖学的なつながりがあり、統合失調症の症状や認知機能と関連があるとされている小脳 Crus I/IIに着目しました。MRI脳構造画像を用いて、異なる臨床病期(精神病超ハイリスク、初回エピソード、慢性期)でCrus I/II 体積にどのような違いがみられるかを解析したました。
本研究の成果により、小脳 Crus I/IIの白質体積の異常は精神病超ハイリスクにおける早期発見や治療のバイオマーカーとして役立つことが期待されます。
Volumetric differences in gray and white matter of cerebellar Crus I/II across the different clinical stages of schizophrenia
DOI : doi.org/10.1111/pcn.13277
Chie Morimoto, Akiko Uematsu, Hironori Nakatani, Yosuke Takano, Norichika Iwashiro, Osamu Abe, Hidenori Yamasue, Kiyoto Kasai, and Shinsuke Koike
Psychiatry and Clinical Neurosciences