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OUTCOMES
2020.08.25

進化的に古い脅威と関連した匂い刺激が人の恐怖記憶を強化する

概 要

Jessica TaylorらATRの研究グループは、米国UCLAのHakwan Lau教授や英国Cambridge大学のBen Seymour教授らと共に、進化の過程で「脅威」と関連づけられたと思われる、捕食動物の匂いの刺激が、ヒトの恐怖記憶を強化することを示しました。ふとした香りで記憶が蘇る、というように、嗅覚と記憶が密接に関連することは一般的に広く知られていますが、ヒトにおける恐怖記憶が、背景に漂う嗅覚刺激による影響を受けるかどうかは、 これまで殆ど検討されていませんでした。本研究は、現代人である被験者がそれまで直接的に脅威を経験したことのない捕食動物の匂い(に相当する化学物質)が、恐怖条件付けを強化することを明らかにしました。進化の過程で獲得した嗅覚の機能は、私たちの恐怖記憶メカニズムと密接に関連しており、恐怖記憶によるPTSDの発症にも寄与している可能性があるのかもしれません。

論文情報

<タイトル>

An Evolutionarily Threat-Relevant Odor Strengthens Human Fear Memory
DOI : 10.3389/fnins.2020.00255

<著者>

Jessica E. Taylor, Hakwan Lau, Ben Seymour, Aya Nakae, Hidenobu Sumioka, Mitsuo Kawato, Ai Koizumi

<掲載誌>

Frontiers in Neuroscience