心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、生命を脅かすトラウマ体験に引き続き発症します。PTSDの現状の治療は多く課題を抱えており、新たな治療法が求められています。本研究では、脳波やMRIのデータを利用したニューロフィードバックと呼ばれる技法の新しい治療法としての可能性を検証しました。その結果、洗練された方法での今後の検討が必要ではあるものの、PTSDの新規治療法として有望であることを確認しました。また、デコーディッド・ニューロフィードバックと呼ばれる技の効果がニューロフィードバックの成績により説明できることを示し、そのメカニズムの一端を明らかとしました。更に、この技法を4名のPTSD患者に実施した結果、従来の手法と同等以上の症状改善を認め、その有望性を明らかとしました。本論文により、今後の研究の方向性の決定に役立つことが期待されます。
論文情報
Current status of neurofeedback for Post-traumatic stress disorder: a systematic review and the possibility of decoded neurofeedback
DOI : 10.3389/fnhum.2019.00233
Toshinori Chiba, Tetsufumi Kanazawa, Ai Koizumi, Kentarou Ide, Vincent Taschereau-Dumouchel, Shuken Boku, Akitoyo Hishimoto, Miyako Shirakawa, Ichiro Sora, Hakwan Lau, Hiroshi Yoneda and Mitsuo Kawato
Frontiers in Human Neuroscience