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OUTCOMES
2019.05.30

光酸素化触媒によるタウアミロイド形成阻害〜アルツハイマー病新規根本治療開発に向けて〜

概要

アルツハイマー病は進行性の神経変性疾患で、高齢化に伴い患者数が激増していますが、未だ根本治療法は開発されていません。アルツハイマー病の特徴的な病理学的所見の一つに、タウと呼ばれるタンパク質が異常に凝集し、「アミロイド」と呼ばれる特徴的な線維構造を形成して細胞内に蓄積する神経原線維変化が挙げられます。このタウアミロイドの形成・蓄積とその病理の広がりが認知機能低下と相関することから、その阻害がアルツハイマー病の治療戦略の一つとなると考えられています。
本研究グループでは、アミロイドに対する酸素原子付加によって、さらなるアミロイド形成を阻害する戦略を独自に考案し研究を進めています。そして光刺激及びアミロイドの高次構造認識によって自在に酸素化反応をオン・オフ可能でアミロイドに対し選択的に作用する光酸素化触媒を開発してきました。今回、より酸素化活性の高い新規光酸素化触媒の開発に成功し、またタウアミロイド選択的に酸素化が可能であることを明らかにしました。さらに、培養細胞内においても、本ストラテジーによる酸素化によりタウアミロイド形成誘導能が減少することを明らかにし、タウアミロイドの病理形成の広がりをも阻害できる可能性が示唆されました。
本研究成果は、光酸素化触媒を用いたアルツハイマー病に対する新規根本治療戦略の提示に繋がることが期待されます。

論文情報

<Title>

Photo-oxygenation inhibits tau amyloid formation
DOI : 10.1039/C9CC01728C

<Authors>

Takanobu Suzuki, Yukiko Hori, Taka Sawazaki, Yusuke Shimizu, Yu Nemoto, Atsuhiko Taniguchi, Shuta Ozawa, Youhei Sohma, Motomu Kanai  and  Taisuke Tomita

<Journal>

Chemical Communications